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 [モスクワ 13日 ロイター] 2012年に次期大統領選を控えるロシアで、人気インターネットサイトへのハッカー攻撃や当局によるフリーメールなどの利用に対する警告をきっかけに、中国のような言論統制が敷かれるのではとの懸念が浮上してきた。

 ロシア政府はチュニジアやエジプトの政変、欧米諸国が軍事介入を行っているリビア情勢を念頭に、大統領選前の混乱を未然に防ごうと躍起になっている。

 ほとんどのメディアが国営のロシアでは、インターネットが言論の自由を守る最後の砦(とりで)の一つとしての役割を担う。ブロガーらは、ネット上で自由に当局を批判するとともに、政府高官らの汚職にも疑問を投げかけ、検閲の心配なしに情報交換を行っている。

 しかし、プーチン首相が大統領の座に返り咲く可能性もある来年3月の大統領選を前にして、ネット上でのオープンな批判には、高い代償が伴う恐れが出ている。

 シンクタンク、アゲントゥラのアンドレイ・ソルダトフ代表は、「政府に近い人間は、次の大統領選でインターネットが既存メディアより重要なメディアになると考えている」と指摘する。

 インターネットは北アフリカや中東の反政府デモで重大な役割を果たし、ネットを遮断する対応を取った政府もあった。同様の混乱がロシアで起きる可能性は低いとみられているが、当局は最悪の事態に備えた対策を講じている。

 先週そのロシアで、人気サイト「ライブジャーナル」がハッカー攻撃を受け、メドベージェフ大統領のブログを含め、500万人近いブロガーのページに一時アクセスできない状態になった。

 「これは、万が一デモが起こった場合に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のウェブサイトを遮断できるかどうかを確認するために、当局が行ったテストだ」とソルダトフ氏は分析する。

 <国家安全保障への脅威>

 ロシアと中国のサイバー攻撃に警戒感を抱く米国は、2010年版人権報告書で、ロシアでのウェブトラフィックが、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身、ロシア連邦保安庁(FSB)に送られているとの見方を示した。

 一方、FSBの情報保護・特別通信センターのアレクサンドル・アンドレイエチキン所長は先週、電子メールサービス「Gメール」や「ホットメール」、インターネット電話の「スカイプ」について、無制限に利用されれば「国家の安全保障への大きな脅威」になると警告。暗号技術を用いて、それらのサービスを提供するプロバイダーへのアクセス権限を求めた。

 Gメールを提供する米グーグル<GOOG.O>はこれまでのところ、ロシア当局とのアクセスシェアの可能性についてコメントは出していない。

 ホットメールの米マイクロソフトは「アカウントセキュリティーやプライバシーは、ホットメールにとって最優先事項で、顧客データの公開はしていない。業界のリーダーや各国政府と緊密に連携していく」との声明を発表した。

 FSBはロイターに対し、この件に関するコメントを差し控えた。

 問題のハッカー攻撃をめぐっては、事件の首謀者についての憶測が飛び交っている。ソルダトフ氏はロシアのハッキング事情について、共同執筆した著書に、情報機関から委託されたハッカーが、国内外で攻撃を仕掛けていると記している。

 ハッカー攻撃の対象になった「ライブジャーナル」は、ウェブサイトに大量のデータを送信し、そのサーバーの機能を停止させる「サービス妨害攻撃」を受けダウンした。

 チェチェンの分離独立派をはじめ、グルジアやエストニア政府も同様の手法で攻撃を受けたことがある。政府等の内部文書を公開する民間サイト「ウィキリークス」の支持者も、同サイトへの支援を妨害した組織への攻撃に、この手法を用いている。

 <SNSの利用は月平均9.8時間で世界1位>

 インターネット調査会社コムスコアが先月発表した調査結果によると、ロシア人のSNS利用時間は世界1位の月平均9.8時間。これは、世界平均の2倍以上だという。

 また、ロシアの世論調査会社によると、2002年にわずか6%だったインターネット利用者が、この10年で急増。現在、約43%が定期的にネットを利用している。

 ロシアのブログコミュニティーでは、ユーザーの多くが今回のハッカー攻撃に怒りをあらわにし、挑戦的な態度を示している。

 「ライブジャーナル」ユーザーの1人はブログ上で、「フェイスブックやツイッター、また別の人気SNSサイトが閉鎖されても問題ない。彼らは、圧力を強めれば強めるだけ、自分たちが不利な状況に追い込まれることを理解していない」とつづった。

(ロイター日本語ニュース 執筆:Thomas Grove記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)

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